古代より難波と奈良を最短距離で結んだ暗越奈良街道、その全体を案内する初めてのガイドブック。本書を携えて実際に「街道」を歩けば、各地の歴史や生活文化を知ることができるように構成されている。 暗越奈良街道は奈良時代、高僧行基によって整備されたとされ、難波津に上陸した鑑真和尚もこの道を辿って平城京に入ったと考えられる。江戸時代には、松尾芭蕉もこの街道を通り、菊の香に くらがり登る 節句かな,の句を残している。 沿道には今でも色々な時代の道標、石仏、石燈籠などが残され、出来る限りその由来などを記載している。また実際、それらが「街道」を歩く人のマイルストーンとなるように、各エリアの「歩き方」を紹介する。さあ、本書を携えて暗越奈良街道を辿って「峠」にのぼろう。日常とは異なる世界がそこには広がっているはずだ。
大阪と奈良を暗峠経由で結ぶ「暗越奈良街道」沿線の見どころをまとめた「暗越奈良街道ガイドブック2012‐歩いて知る街道の歴史と生活文化‐」が読書館(奈良県生駒市)から出版された。
歴史的、文化的施設や著名飲食店などのガイドを載せたほか、沿線にあるAED(自動体外式除細動器)設置場所などを地図上に示し、防災にも役立つよう工夫している。
大阪市、東大阪市、生駒市、奈良市のまちづくり団体や行政機関の関係者で 平成20年度に組織した「暗越奈良街道倶楽部」の有志が編集委員会をつくり、 執筆を分担するなどして一冊の本にまとめた。
暗越奈良街道は、大阪市中央区の高麗橋から東成区、東大阪市、暗峠、生駒市を通 って奈良市の春日大社に至る約34キロ。 ガイドブックでは、難波津▽布施▽ 生駒山西麓▽平城京▽春日大社と奈良町―など計17項目に分け、写真や地図などを 使って寺社、古墳、文化施設などのガイドや、地域の歴史に関するコラムなどを掲載した。 また防災の観点から、コンビニエンスストア、トイレ、AED設置場所など 緊急時に利用できるポイントを地図上に示している。
-2012年6月20日産経新聞(大阪版)朝刊 ※一部抜粋-